国会に登場したUber Eats
こんなツイートを見かけ、国会で「配達パートナー」の働き方が議論になったことを知りました。
ウーバーイーツ配達員の働き方は「命綱を着けずに高層ビルで働くようなもの」(日本共産党の笠井亮(あきら)議員が紹介したウーバーイーツ労働者の言葉。画像はNHKテレビより) #国会中継 pic.twitter.com/NVy39hp9ko
— かどはら武志(愛知県東郷町議 日本共産党) (@kadohara) February 4, 2020
議論の様子は以下のサイトで「2020年2月4日」「笠井亮」(発言者名)と検索すれば出てきます。
しかし動画を見なくても、自分が内容をまとめたので安心してください。
目次
笠井亮さんの質疑にて登場
国会は「議員が質問」→「政府(総理など)が回答」という流れで進んでいきますが、その中で笠井亮さんの質疑の時間にウーバー配達員が登場します。
笠井さんは「共産党」の議員さんなので、基本的には「労働者の権利を守る」という立場。
ウーバー配達員は、いろいろ守られてなくてヤバイ、という主張なんだろうなーと想像しながら視聴を開始しました。
以下、主張や質問の内容です。
前置き〜日本の労働者について〜
配達パートナーの話題が登場する前に、いくつか質問をされていたので、その部分も軽くまとめておきます。
主張としては
- 先進国で賃金下がっているのは日本だけ
- 最低賃金の全国格差が問題
- 最低賃金は本当に「健康で文化的」なのか
といったものでした。
めちゃくちゃざっくりまとめると、
「日本では給料全然増えてないし、田舎だと時給低いし、低い時給で結婚とかできるの?」
「政府、このままでいいの?」
という感じの主張です。
政府側は
- 最低賃金は少しずつ増えている
- 東京と同じ賃金を地方にも適用したら、地方の企業にダメージ
- 政府が「生活に必要なお金」を試算し、最低賃金を決めている
と答えていました。
働き方改革の例としてUber Eats登場
話題は政府の働き方改革に移ります。
笠井さんは
- 国はフリーランスや、ギグワークを推進している
- ギグワークの例としてウーバー配達員がいる
- 労災などが適用されないのは問題
と主張します。
ギグワークとは「会社に縛られず単発の仕事をする働き方」のことです。
アプリを立ち上げたときだけ働けるウーバー配達はまさにギグワークですね。
これに対し安倍総理は、
- フリーランスなど新しい多様な働き方が増えている
- 政府として実態把握し、正しいあり方を検討する
と、「まずはどんな働き方があるか、実態調査からやります」と回答します。
また経済担当大臣は、
- ネットを使った働き方が増えている
- スキマ時間を使った兼業も増えている
- 法的な問題もあるので、検討を進めてる
と答えました。
法律の例としては「労働政策法」や「競争法」を上げていましたが、正直どんな法律なのかは分かりませんでした。
最近よく聞くギグワークって何?フリーランスと違うの?【賢い人は副業してます】Uber Eats配達パートナーの問題点3つ
さらに笠井さんは話を進め、ウーバー配達員には大きく3つの問題があると指摘しました。
- 労災保険がない
- 最低賃金が適用されない
- 団体交渉権がない
詳しく見ていきましょう
労災保険がない
そもそも労災保険とは
- 仕事中の怪我などに対し、国から補償がもらえるもの
- 保険料は会社負担
という制度です。
雇用主である会社側が「100%」保険料を負担し、労働者の万が一に備えますよ、という制度。
正社員だけでなく、パートやアルバイトなども含め「雇用関係」があれば、会社は「労災保険料」を積み立て、事故に備えなくてはいけません。
ではウーバーイーツがどうなっているかというと、
- ウーバーは「配達員」と「お店」のマッチングをしているだけ
- 配達員は個人事業主なので、雇用関係にない
- 雇用していないので、労災に備える義務もない
これがウーバー側の主張です。
自分たち「配達パートナー」は個人事業主という扱いなので、ウーバーは保険料の積み立てをしていません。
そのため業務中の事故であっても、国の「労災保険」は適用されないのです。
(労災保険とは別に、ウーバーが民間の保険会社と提携した保険はあります。)
【落とし穴あり】ウーバーイーツ配達員の保険について解説【補償と条件】
笠井さんは
- 命綱をつけずに高層ビルの窓拭きをしているようなもの
という表現で、労災が適用されないウーバーの働き方を批判していました。
(配達パートナーがそう言っている、とのことでした)
最低賃金が保証されない
ウーバーと配達パートナーは雇用関係になく、個人事業主形態であることは分かっていただけたと思います。
個人事業主の場合、「賃金」でなく「報酬」が渡されるので、「最低賃金」の考えは適用されません。
配達を多くこなすと「報酬」が増え、待機時間などには「賃金」が発生しないのがUber Eatsの働き方です。
最低賃金について笠井さんは、
- 配達パートナーの報酬はウーバーが勝手に変更する
- 変更はメール1通送られてくるだけ
と主張します。
これに関しては確かに、配達パートナーの料金改定は突然だよな、という感じ。
2019年11月にも、長距離配達時の報酬が改悪がありました。
Uber Eats(ウーバーイーツ)配達パートナーが稼げるのは今だけかもしれない話【ウーバーは大赤字】団体交渉権がない
団体交渉権とは、労働者が一丸となって、経営層や使用者に意見を主張できる権利のことです。
一般的には「労働組合」というかたちでチームを作り、労働環境をよくするために会社側と戦います。
この権利は憲法に記載があるほどで、労働者が奴隷にならないためにめちゃくちゃ重要な権利です。
しかしウーバーは「配達員とは雇用関係にない」として、交渉自体を拒否し続けています。
笠井さんは、
-
個人事業主であるプロ野球選手には選手会という労働組合あり、団体交渉している
-
ウーバーも団体交渉に応じるべき
と主張していました。
笠井さんの主張まとめ
その後は国際労働機関の話や、フランス・ドイツ・アメリカといった先進国の話が続きました。
専門的な話でよく分からなかったので割愛します。
これまでの歴史で「労働者の権利を守る」ために「様々な法律」ができてきた。
「雇用してないから」の一点張りでフリーランスなどを認めてしまうと、歴史に逆行してしまう。
というのが笠井さんの大まかな主張でした。
確かに「雇用関係にない」といっても、
- ウーバーの決めた手順で働く
- ウーバーの決めた報酬で働く
- ウーバーがアカウント停止といえば解雇となる
という実態などを考えると、「雇用関係にない」というのは少し無理があるのかもしれません。
正論なんだけどビミョウな感じ(まとめ)
最後に自分の考えも書いておきます。
笠井さんの言う様に、「労働者の権利を守るべき」「それがみんなの幸せに繋がる」「ウーバー配達員は保護がなさすぎる」というのは本当にその通りです。
社会全体を考えたら、ウーバーにも普通の雇用主と同等の義務を課すべきなのかもしれません。
しかし一方で、「個人」の視点に立つと、「そこまでウーバーの働き方が悪いか?」と思います。
自分自身、ウーバーの自由な働き方は、自由・気楽で、めちゃくちゃ気に入っています。
配達パートナーが
- 格差を広げる最悪の貧困ビジネス
- 政府がこんなことをするなんてムカつく
と主張している。
と笠井さんは紹介していますが、私自身はそんなことを思ったことはありませんし、「ウーバー配達は気楽でいいな」と考える配達パートナーも多いはずです。
権利や補償を厳格にする、とは、それだけ手続きや働き方が複雑になるということです。
そもそも最低賃金以下で働くことが違法となれば、仕事自体無くなってしまうかもしれません。
個人的には多少権利や補償が見劣りしたとしても、今のウーバーの自由な働き方を維持してほしいと思っています。
もちろん怪我をした人の補償は厚くしてあげてほしいですが、そこは今ウーバーがやっているように、民間の保険を使うことでカバーできるはず。
Uber Eats(ウーバーイーツ)配達パートナーの自転車保険について解説【待機時間は補償されません】単に「ウーバーは違法だから取り締まろう」ではなく、「配達員」「ウーバー」それぞれにメリットがある形で、ウーバーの働き方が発展していったらいいなと考えています。
では、長くなりましたが今回は以上です。
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ありがとうございました。
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