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この記事を書いているのは
この記事を書いているのは3800回ほどの配達を達成中の専業ウーバー配達員です。
1年以上配達してるので、ウーバーの現場レベルの理解はそこそこあると思います。
学生時代は法学を専攻していたので、労働者or個人事業主問題に興味があり、この記事をまとめることにしました。
まあギリギリ卒業できたくらいで大して勉強してなかったんですが。
筆者のプロフィール
「高学歴貧困層」がプチバズったけどインフルエンサーになれなくて絶望したツチヤミとはウーバーイーツ配達パートナーは労働者?
ウーバーイーツでよく話題となるのは、「配達パートナー、本当に個人事業主なのか問題」です。
日本には労働基準法があり、労働者の権利が保障されたり、雇用主の義務が決められています。
個人事業主の場合は労働基準法で言う「労働者」に当てはまらないので、労働基準法の適用外になります。
「労働者」の定義は、ウーバー社がそう決めたから!といった外形的なものでなく、実態が考慮されます。
労働基準法で言う「労働者」に当たるなら、労働関連の他の法律も適用となります。
(例:最低賃金法とか)
配達パートナーの実態が「労働者」なのにも関わらず、個人事業主扱いしているなら問題となります。
配達パートナーの権利が保障されなかったり、ウーバー社は義務から逃げることができてしまうからです。
労働基準法で言う「労働者」の定義
では労働基準法で言う「労働者」とは、どのような定義なのでしょうか。
労働基準法9条に、
職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者
という記載があります。
使用される者で、賃金を支払われる者、ならば労働者である、とのことです。
「使用される者」、「賃金を支払われる者」とは具体的にどういう意味なのか、過去の判断例があります。
大きく5つの判断基準があって、
- 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、
- 業務遂行上の指揮監督の有無
- 勤務場所、勤務時間の拘束性の有無、
- 労働力の代替性の有無
- 報酬の性格が使用者の指揮命令のもとに一定時間労務を提供していることに対する対価といえるか
なんだか複雑になってきましたが、要は、
- 仕事を断れないなら労働者(断れるなら個人事業主)
- 誰かに指示されるなら労働者
- 場所や時間を決められているなら労働者
- もらった仕事を誰かに振れないなら労働者
- 指示された働きに対してお金もらったら労働者
というイメージです。
1〜5は、その反対は個人事業主、と考えてください。
日本で裁判が起こった場合、上記1〜5が争点になるはずです。
今のところ裁判例はないので勝手に考えてみると、
1は別にアプリをオフにすれば断れるし、
2は1人で働いてて誰からも指示されてないし、
3はいつどこでウーバーするかは配達員の自由だし、
労働者じゃない(=個人事業主)気がします。
一方で、
4は確かに配達は自分でするしかない(下っ端に任せるとか無い)し、
5は配達という働きに対して報酬もらってるので、労働者に当てはまってしまう気がします。
イギリスのウーバーは最高裁判決で負けた
日本ではまだ裁判になっていませんが、先に海外で裁判が進んでいます。
参考までに最近話題になったイギリスの判決を見てみます。
日本とイギリスの法律は違う
前置きとして、この判決はウーバーの配車アプリ(=タクシーのやつ)に関するものです。
さらに、イギリスの労働法は日本とは違くて、
- employee
- worker
- self-employed
という3つの定義があります。
日本で言う「労働者」と「個人事業主」の間に、ワーカーという「軽い従業員」みたいな定義があります。
ワーカーには育児休暇が与えられない、など、エンプロイーより権利が弱いです。
そんな感じで厳密には日本と比べられないのかもしれませんが、一応最高裁の判断は参考になるので紹介します。
イギリスの最高裁判決
最高裁は、自分たちはあくまでも仲介者だとするウーバー側の訴えを判事全員の一致で棄却。
運転手は乗客を乗せている間だけでなく、アプリにログインしている間は勤務中とみなされるべきだと結論付けた。
要はウーバーのドライバーは、
- ウーバーの元で勤務しているので個人事業主とは言えない(ワーカーに当たる)
とのことです。
その理由としては、
- ウーバーが運賃を決め、運転手が稼げる金額を設定している
- ウーバーが契約条件を設定し、運転手側に発言権がない
- 乗車リクエストはウーバーに制約されている。ウーバーは運転手があまりにも多く乗車拒否した場合にペナルティを課すことができる
- ウーバーは5つ星評価を通して運転手のサービスを監視し、警告を繰り返しても改善されない場合は契約を終了する権限を持っている
要は、
- ウーバーが決めた報酬で働いてる
- ドライバーに発言権が無い
- リクエストを拒否しまくるとアカウント停止になる
- ドライバー評価が下がるとアカウント停止になる
といった理由から、ドライバーは「ワーカー」に当たるとしています。
乗車拒否についてはアプリをオフラインにしてしまえば問題無い気もしますが、あくまで「飛んできた依頼を拒否できるか」という点が大事なのでしょうか。
アカウント停止の規則があるということは、実質ウーバーの管理下で働いている、という結論のようです。
最初に紹介した2「誰かに指示されるなら労働者」について、アカウント停止の恐怖=ウーバーから監督されているようなもん、という結論でしょうか。
いずれにせよイギリスの最高裁は、ウーバーのドライバーは個人事業主ではない(イギリスで言う「ワーカー」に当たる)と判断しました。
イギリスのウーバー社の方針
イギリスのウーバー社はこの判決を受け、最低賃金、有給休暇、年金などを保証するようです。
それだけならドライバーはハッピーな気もしますが、保証できるようにタクシー料金を値上げする可能性もあるとのことです。
タクシーが高額になれば、お客さんが減って結果的にドライバーが職を失うかもしれないので、一概にハッピーとも言えません。
日本のウーバーイーツも労働者と判断される可能性
最後に日本のウーバーイーツへの影響を考えてみます。
日本の裁判所もイギリスと似たような立場を取るなら、ウーバー配達員は労働者だ、と定義される可能性は高いです。
配達という労務に対して報酬が定められていたり、アカウント停止の恐怖で実質ウーバーの方針に従わないといけないからです。
ウーバー配達員が労働者と決まっても、保障が手厚くなるだけなら問題ありません。
問題は、雇用主としての負担が増えるウーバー社が、事業撤退するかもしれないことです。
そこまで諦めなかったとしても、注文料金を上乗せすることで利用客が減る可能性もあります。
配達員にとって手放しで喜べる結論になるかは分かりません。
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では今回は以上になります。
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ご愛読ありがとうございました!
参考 労働基準法上の「労働者」とは弁護士竹村淳オフィシャルサイト 参考 英最高裁 ウーバー配達員は「従業員」yahooニュース(BBCニュース) 参考 Uber判例に見る外国法の取り扱いの難しさAK-UP まいせん(毎日の処方箋) 参考 プラットホームエコノミーと労働法上の課題法政大学法学部教授 浜村彰
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